Grand-Guignol K.K.K

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私家版日本語文法

今週はなんかえらく早かった。今週っていつだっけ?
さて、今日はちょいと小難しい話をしようと思う。なんといっても日本語の話だからな。フンドシつけてる人は締めなおして聞いてくださいね。たとえば次のような文があったとする。
「9/23発売を予定しておりました『悪魔のいけにえ特別版』に関しまして、諸般の事情により発売を中止させていただくこととなりました。大変申し訳ございませんが、何卒ご了承いただけますよう、宜しくお願いいたします。」
ここでオヤと思うのが、「いただけますようお願いします」という表現だ。「いただきますようお願いします」が一般的だと思うのだが、最近この手の表現をあちこちで目にする。「いただけますよう」は可能+願望であり、限りなく話し手の願望に近い表現である。これが仮に「いただけますよう願っています」とか「いただければ幸いです」という感じで続けばそれほど違和感はない。話し手の希望だけで自己完結しているからである。しかし、「お願いします」という言葉は、丁重さを装いつつどう転んだってこちらの願望を相手に押しつけている。「いただきますようお願いします」が有無を言わさぬ調子で話し手の要求をより明確に押し出すのに対して、「いただけますようお願いします」はちょっと腰がひけた感じで、願望なのか主張なのか境界線をあいまいにする効果がある。こうだったらいいなと願望しつつ、お願いしますとさりげなく相手に意志を押しつけているわけだ。要するにこの表現は文法がどうのというよりも一種の論理矛盾なのであって、これが違和感の正体ではないかと思うのである。まあ使っている人はそこまで考えていないだろうし、個人的にはべつにどっちだっていいんだけどね。どっちでもいいと言ってるわりに充分こだわっているわけだが、そのへんは見逃していただけますようお願いします。