制服の処女
「制服の処女(MADCHEN IN UNIFORM)」(1931 仏・独 レオンティーネ・サガン監督)
おおお、なんという直接的な邦題!と思ったエロガッパ諸氏には申し訳ないが、ただの直訳である。内容も総じて真面目であり、保守的かつ全体主義的な女学院を舞台に教師と生徒の美しくも切ない慕情を謳いあげた純愛映画だ。古い映画なので演技過剰なところとかマヌエラのぼーっとした表情のアップとベルンブルグ先生のぬぼーっとした表情のアップが強調されている変なカメラワークとか気になるけども、厳しくも慈愛に満ちたまなざしを生徒たちに注ぐベルンブルグ先生と、母親を亡くしホームシック気味のマヌエラとの交流は、ヘソの下あたりをくすぐられるような微妙なエロスをかもし出している。マヌエラがベルンブルグに寄せるのは淡い恋情のようなもので、レズビアン的な感情の一歩手前で踏みとどまっている感じが奥ゆかしくてよい(はくパンツがないので先生にお古をもらって夢中になるというような可愛らしいエロさである)。あと刑務所のような女の園にあって女生徒たちの姿も丁寧に活写されていて、スタッフ・キャストともに全員女性というのもうなずける。それと対照的に描かれるのが、権威の象徴である校長先生。高圧的で醜悪な頑固ババアそのものの姿は数年後のナチスの台頭を彷彿させる。★1/2