ライフ・イズ・ビューティフル
「ライフ・イズ・ビューティフル(LA VITA E BELLA)」(1998 伊 ロベルト・ベニーニ監督)
「クモと西ゴート族はお断りだ。西ゴート族ときたら!」
戦争を明るく描いた作品はいくつもあるが、これはどぎつい毒気やブラックユーモアではなく、恥ずかしいまでのベタな泣きと笑いでオブラートに包んでしまった佳作。素っ頓狂な主人公のキャラクターや前半と後半の狙いすました落差にあざとさを感じざるを得ないが、どう転んでも不可能な状況にあってなお希望を生み出そうという可憐な意志はたぶん万国共通のベタなのであって、その切なさに共感を覚える人も多いだろう。ラストはお約束どおりの完璧なあざとさ。ベタも極めれば様式美というか、不覚にも涙がこみあげてしまいました。特に傑作だとは思わないけど、子役のかわいさも手伝ってなんとも憎めない映画になっている。こういう手法を強引に成立させるロベルト・ベニーニの力量は評価されてしかるべきだろう。★1/2