Grand-Guignol K.K.K

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セヴンティーン

外は木枯らし。街では愉快でお洒落な人たちが用もないのにうろつき回り、小さな屋根の下ではブサイクな一家が希望に満ちた新年を祝っているかと思うと心底興奮しますね。それにしてもこの季節はなにもやることがないので本当に困ってしまいます。私も自分あてに出した年賀状の返事をすべて出し終えたら本当に何もやることがなくなってしまいました。で、録画しておいた全国女子駅伝のビデオをスロー再生で三回も観たんですが心底飽き飽きしてしまいましたよ、とバレバレの嘘をつかざるを得ないほどにやることがないわけですが、しかたがないので部屋にこもっておちんちんで腹話術の練習などをしていますと、脳裏にあの忌まわしい遠い日々の記憶が鮮やかに甦ってきたりもするわけです。「♪殺せ殺せ殺せ邪魔者は 火を放て街も国中戦争は人殺し そんな言葉や歴史の現実を NHKさえも避け続けてる♪」カーテンを締め切った部屋で悪魔のシャウトに身を委ねつつ、すごいなあすごいなあ、みんなやることがあってすごいなあ。俺にはもうこれしかないよと泣きながら息子を握り締め、もう一方の手にはキチガイが部屋に乱入してきた時に殴り殺すためのトンカチ。いっそのこと唐竹割りみたいに連中の頭をスパアアンと一刀両断したらきもちいいだろうな。いや、きもちわるいか。死体の処理とか面倒だしなあ。やっぱり殺さなくてよかった!と頭のなかでポリアンナが囁く。要するにあの頃と状況はなにも変わっていないのであり、だから俺はいまだに子供と老人にしか人気がないし、めがね屋はすぐにぶっ壊れるサングラスを売りつけるのである。あと誰だ、ウチの前にいっぱいゴミとか捨てるやつは。かまぼこ業者のいやがらせか?それともつくだに屋の陰謀か?おおそうだ。そうに違いない。カニ年おめでとうおめでとう、誰か俺におとしだまをくれたまえ、ハァハァ。おお見よ、空から燦然と輝く黄金の天皇陛下が!するとそのときあの人たちが部屋に入ってきて口々に「お見舞いだ」と言いながら私にパンチをお見舞いして帰っていきました。