フランスの思い出
「フランスの思い出(LE GRAND CHEMIN)」(1987 仏 ジャン=ルー・ユベール監督)
「なぜ私のパンツばかり見るの?」「そっちが見せてるんだ」
いい。これはいいですね。牧歌性と残虐性が絶妙のバランスを保っていて素晴らしいです。逆さに吊るしたウサギの死体の眼球をナイフでえぐりだし生皮をつるんと剥ぐという「ネクロマンティック」よりもエグいショットが冒頭に挿入されますが良い作品です。音楽がいい。音楽にやられるかも。脇役もそれぞれ魅力的。マルチーヌがいいですねえ。ブサイコちゃんですが「ウララ〜」とパンツまるだしで不吉なことを言いまくって少年をからかう。
「3日後に発見されたけど鼻や目はシラスウナギの巣よ」
「シラスウナギ?」
「ウナギの赤ちゃん。黒い目をした白いウジみたい。おいしいよ」
こういうブサイコちゃんは許せます。擬似バカンスものにありがちなけだるい退屈さがなくて、会話やエピソードがおもしろいので頭ひとつ抜けている感じです。日本語字幕もこなれている。欲を言えば牧歌的に過ぎるという点でしょうか。あまりに素直に感動してしまったので、もっと少年の性衝動のほとばしりみたいなものがいやらしく表現されていたらよかったかもしれませんね。個人的には「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」よりお勧めできます。★★