殺し殺され生きるのさ。
運転免許証の更新に行ってきました。で、講習会で例の「かもしれない運転」のお話を聞いてきたのですが、これってどうなんでしょう。つねに不測の事態を想定しながら運転しろ、ということなんですが、歩行者が予告なしに方向転換してヒヤリとしたなんて話は日常茶飯事ですよね。ボーッと歩いていたおばさんがとつぜん何かを思い出して、猛スピードで動き出したりするのですから油断なりません。どんなに用心しているつもりでも現実は我々の予想をこっぴどく裏切るものです。ですから死角から子供が飛び出してくるかもしれない、なんてのはほんの序の口なわけです。それどころか、空から人が降ってくるかもしれない。自転車に乗っているおじいさんを追い越そうとしたら時速100kmでバックしてぶつかってくるかもしれない。マンホールのふたを開けて出てきた河童の子供の頭を踏みつぶしてしまうかもしれない。横断歩道を手を挙げて歩行中のコビトの一家をひき殺してしまうかもしれない。時空の裂け目から空也上人が合掌しながら落ちてきて跳ね飛ばしてしまうかもしれない。透明人間の子供がいきなり車の前に飛び出してきたら完全にお手上げです。あっというまにこんなにたくさんの人を殺してしまった。もうおしまいだ。
こうして私はペーパードライバーとして生きていく決心をしたのでした。