Grand-Guignol K.K.K

The half of this site consists of gentleness. The other half of this site consists of lie. Sorry, this is all shit in the end. Here is MATERIAL EVIDENCE: (^ ^)ノヽξ

認識とは短絡の集合である

駅前で「自殺者を減らそう!」キャンペーンというのをやっていた。「自殺者を減らそう!」という幟がはためくなか、ラジカセから不思議な音楽が流れ、数名のおばさんが道行く人にチラシを配っている。
「あ、幸福の○学さんだ!」
俺はチラシ欲しさに、わざと無関心を装っておばさんのそばを通った。すると、なぜか俺だけ無視された。他の人はみんなもらっているのに。俺はとうとう宗教にすら相手にされなくなったのか。軽くプライドを傷つけられた俺は、まあ黒いスーツでサングラスをかけていたから、インテリヤクザか何かと間違えられたのかもしれん、などと思いつつ悔しいのですこし大回りをしてから引き返し、おばさんに声をかけた。
「すみません、一枚いただいてもよろしいですか?」
おばさん(ギボアイコ似)はとても嬉しそうに俺にチラシをくれた。俺はほっとして受け取った。「自殺したらどうなる」と題された両面印刷のマンガである。俺はこのチラシを既に2枚もっているが、配っているのを見ると無性にもらいたくなるのだから不思議だ。
チラシを眺めながらバスを待っているとさっきのおばさんがやって来て、『The Liberty』という機関誌を俺に差し出した。なんと、俺だけ特別にこれをくれるというのだ。
「えっ、いただいてもよろしいんですか? ありがとうございます!」
と言って迷わず受け取った。俺は陰でこそこそ宗教の悪口を言うけども、実際に宗教の人に遭遇したときは普段の何倍も慇懃に振る舞う。罪滅ぼしというか、感謝の念をこめているつもりだ。
その後、おばさんがアンケートに答えてくれと言ったので丁重にあしらってやや浮かれながら家路に着いた。やっぴー。またひとつコレクションが増えた。
家に帰って『The Liberty』のマンガのとこだけ読んだ。
自殺をしても楽になれるわけではない、という主張が霊的な側面から述べられていた。まあ内容としては、俺が3歳のときカッパ様から聞いたお告げとたいして違わないし、いくつかの事実誤認を除けば、言ってることはそんなに間違ってないと思う。たしかに自殺は悲しい。できれば減らしてあげるべきなのかもしれない。たとえそれが宗教的な脅迫としての救いであってもだ。
ただ、生そのものが地獄である人に対して無責任に生きろとも死ねとも言えないので、大半のひとは死に行く者に対してなにもできぬまま手を拱いているしかないのだろう。それが現実である。なにかができると思うのは思いやりではなく、思い上がりだ。くそかってなカウンセラアのつもりでちゃらちゃらと他人の心に土足で踏み入ればそこにはまた別の地獄が待っている。その地獄と対峙する覚悟があるというなら、やればいい。
カッパ様曰く。ナニモ信じるな、ナニモ信じるなというオシエのみ信じよ。かように世の中の論理というものはおしなべてつまらない。