ギャザリング
「ギャザリング(THE GATHERING)」(2002 英 ブライアン・ギルバート監督)
むかしむかし小高い丘の上で、十字架に磔になった男のひとが、大勢に寄ってたかって虐待されていました。集まったたくさんの観客がそのSMプレイを観て興奮しています。そこへ小さな女の子がたまたま通りかかりました。女の子がその様子をボーッと眺めたところ、どういうわけか呪われてしまいました。苛められていた男のひとの名前はイエスたんといいました。
大江健三郎氏の小説に『人間の羊』という短編がある。この人の初期のSM鬼畜短編群は本当に狂っていて、バスのなかで尻をむかれた四つんばいの日本人乗客たちが外国兵に「羊撃ち、羊撃ち、パン、パン」と囃されながら尻を叩かれるというファンタジックな描写が繰り広げられる一方で、それをこっそり見守る傍観者たちの心理の残酷をイヤというほどえぐりだしてみせるという、非常にえげつない作品であった。で、同じ不快なテーマに惹かれて借りてみた「ギャザリング」ですが、<傍観者の罪>というテーマの重さや暗い雰囲気のわりに物語全体に深みが感じられず、なぜ外人はとうもろこし畑をあんなに怖がるのだろうかとか、クリスティーナ・リッチはクリスティーナ・リッ乳に改名した方がいいんじゃないかなどと思いつつボーッと傍観してしまいました。☆