猛獣大脱走
お空はブルー 芝生は緑
つぶれつぶれ 目をつぶれ 目をつぶれ 見えるから
口を閉めろ しゃべるから 口を閉めろ 泣き出すから
「猛獣大脱走(THE WILD BEASTS)」(1983 伊 フランコ・E・プロスペリ監督)
動物パニックとチャイルドホラーの美味しい部分をてんこ盛りにした傑作。これもさっさとDVDを出して欲しい作品のひとつですね。可愛い動物たちが大挙して人間を殺しまくるという動物好きにはこたえられない内容であり、「人喰族」のヒロイン、ロレーヌ・ド・セールの目つきの悪さと相俟って、ラストの絶望感も魅力的な非常に楽しい一篇となっております。ラリった家畜や野獣たちが市街に繰り出し大暴れするファンタジックな光景には思わず頬がゆるんでしまいますね。これを観たら「ジュマンジ」のような生ぬるい子供騙し映画などもはや鑑賞に耐えないでしょう。しかも社会派をカクレミノにやりたい放題のグロ描写、両断された馬の頭部のへろへろぶりや生きたネズミに火を放って小躍りさせるというイタグロならではのエグイ描写の数々に、ヤコペッティの相棒でもあったプロスペリのストイックにして温かいまなざしを感じます。いまこれと同じぐらい面白い動物ホラーを作れといわれても誰にもできないんじゃないでしょうか。この映画を検索してみるとネガティヴな評価が大半でうんざりしますが、映画というメディアに過剰な幻想を抱くヲタクのみなさん、そんなに真剣に観たらダメですよ(笑)。