暗い森の少女
「その子、返事しないでしょ?」とエリザベスがおだやかに聞いた。ジミーは首を振った。
「どうして返事しないかわかる?」エリザベスはまた聞いた。ジミーはまた首を振った。
「あたまがおかしいからよ!」
「暗い森の少女(SUFFER THE CHILDREN)」(1977 ジョン・ソール著)
本読みの人には今さらなのかもしれないが、ゴシックロリータオカルトホラーの秀作。読み終わるのに半年以上要したが、根気のない俺が途中で投げ出すことなく読めたのでそこそこ面白かったのだろう。不思議の国の狂ったティーパーティーを思わせる描写が楽しく、「悪い種子が芽ばえる時」のオカルト版という感じもする。が、「隣の家の少女」の最悪の解放感すらここにはない。すべては宙ぶらりんのまま闇のなかへ葬り去られる。封印された闇の深さはたとえようもない。アレハンドロ・アメナバールあたりが映像化すればおもしろくなりそうだがまず実現は無理だろう。とりあえず暗くて陰惨な話が好きな人にはお薦めかもだ。★★