蔵六の奇病
「蔵六の奇病」(1970 日野日出志 著)
表題作を始め、「水の中」「はつかねずみ」「百貫目」の4作を収録している。「蔵六の奇病」は確かにまんが日本昔ばなしの暗黒バージョンという感じでなかなかの秀作。グロをグロとして描くだけではなく、異形者の悲哀を湛えつつでもやはり死ぬしかないんだよと最後通告を突きつける。個人的には「はつかねずみ」が寄生家族ものとして完成度が高く感激した。巨大化&凶暴化したはつかねずみに一家が監視され、あげく死体を食わせろとか乳を吸わせろとか法外な要求をしはじめるのだが、なすすべもなく従う一家の恭順ぶりが笑える。人間どもが動物にいじめられる話ほど痛快なものはありませんからね。日頃理不尽な虐待に耐えている動物たちはひそかに牙を研ぎながら、今か今かと復讐の機会を狙っているのです。★1/2