えにっき
9月4日(日)くもり
きょうぼくはまさやくんと山へすいしょうをとりにいって、しにかけた。
がけのふちを歩いているとき、まさやくんが足をすべらせて、おちそうになったのだ。
すると、あろうことかまさやくんは、とっさにぼくの手をにぎった。
ぼくはあせってふりほどこうとしたが、まさやくんはひっしにしがみついてきた。
しかたがないので、火事場のばかじからで、どうにかまさやくんをひっぱりあげた。
あのときぼくががんばらなけらば、ふたりともいまごろおだぶつだっただろう。
それどころか、たにぞこでふたりいっしょにしんでいるのをはっけんされて
「手に手をとってしんでいた」
などとしんぶんにはっぴょうされたりしたら、まるでしんじゅうみたいだ。
おとことしんじゅうなんてまっぴらだ。
それがぼくの運命(さだめ)だとしたら、ぞっとする。
もうにどと山にはいかない。
いまこの瞬間(とき)をたいせつにしたい。
【寸評】生命(いのち)の尊さが身にしみて理解(わか)ったでしょう。