ホーリー・マウンテン
「ホーリー・マウンテン(THE HOLY MOUNTAIN)」(1973 墨・米 アレハンドロ・ホドロフスキー監督/ルネ・ドーマル原作『類推の山』)
経済的な後ろ盾を得て調子に乗ったホドロフスキーがやりたい放題やらかした壮大な失敗作。むかし途中で寝てしまったので今度こそはと気合を入れて鑑賞したのだが、やっぱり寝てしまった。3部作中もっとも豪華で荒唐無稽で狂っているが、同時にもっともまぬけに仕上がってもいる。下手に予算を与えたばかりに、とんでもない代物ができあがったという次第。ダリオ・アルジェントで言えば「インフェルノ」みたいな位置づけだろう。キチガイに刃物とはこういうことかもしれませんね。序盤の無駄に金のかかった華美なセットやホドロフスキー一流のインチキ宗教描写の迫力には圧倒されるものの、途中から徐々にまぬけな空気が漂い始め、わけのわからん退屈なコメディと化して失速。ちん○をちょんぎったり○んこマシーンが登場したりと過剰な下ネタが延々つづくわりに、緊張感もなにもなくて「ソドムの市」か「ピンク・フラミンゴ」を観ているような錯角に陥る。解脱の果てに訪れる脱力もののオチも、メタフィクションの体裁をとった現代社会へのアンチテーゼというよりは、純粋にバカ映画の域に達していると言えよう。★1/2