タンポポ
「タンポポ」(1985 日 伊丹十三監督)
おゑゑゑっ。洞口依子がめあてで借りたのだが、グロ映画だった。つぶれかけたラーメン屋の再建を中心に、いくつかの食にかんする汚いエピソードで構成されているのだが、きったない食い方のオンパレードで、全編凶悪なババッチサである。ラーメンすすりこんでるシーンひとつとっても、リバース再生したら回虫を吐いているようにしか見えない。そういう本質的なきもさをこれでもかと見せつける。どうやったって汚いものを必要以上に汚く見せるのは監督の嫌がらせであろう。シュワンクマイエルやブニュエルにも通じる嫌悪感を粘着的に煽る一方で、食文化を肯定的に描くあたり、監督の底意地の悪さがよく出ている。それでもおまえは死ぬまで食うことから逃れられないのだ、という呪いである。メインの話は典型的な人情コメディだが、こういうのは過程そのものが楽しいのであって、終わってみると実に空しい。NHKの連ドラで充分と思わせる。どちらかというと本筋と無関係なコントの方がおもしろかった。死にかけている母親がむくりと起き上がって晩ご飯を作ってから死ぬ話や、スーパーの食品を丹念に指でおしつぶしていくババアの話がいい。あと、海から上がってきた洞口依子が牡蠣を食わせるシーンのエロいことエロいこと。「あたいの手から食べるといいわ」血のついた牡蠣をべろんと吸い込む役所。それを熱っぽい目でじっと見つめる依子たん。そして・・・おゑゑゑっ。★