青の炎
「青の炎」(2003 日 蜷川幸雄監督)
ピンク・フロイドの「THE POST WAR DREAM」で始まる導入部が最高。痺れた。本編も悪くない。悪くないが、実に中途半端。にのみや君の演技はすばらしいのだが、殺人に至る動機の狂おしさがあまり伝わってこない。殺人者の孤独と挫折を描くには、判りやすいお膳立てが整いすぎているのだ。この判りやすさが結果的にそのまま薄っぺらさへ繋がってしまった感がある(火サスなら上出来だとは思うが)。これではそこらへんにいる平凡な若者の葛藤と大差ないし、「誰にでもできる殺人」に加担しているに過ぎない。できることなら伊達邦彦ばりに静かに、理不尽に狂って欲しかった。ラストに託した思いもなんとなく判るが、微妙に納得いかないのはキャストの問題かもしれない。濱田マリ?に女子高生役をやらせるのはやはり無理があると思った(しゃべらせなかったのは正解)。あと、関係ないがクストリッツァがだいきらいなのでそのぶん減点。★