にがい米
「にがい米(RISO AMARO)」(1948 伊 ジュゼッペ・デ・サンティス監督)
「にがい米をみて」1年2組 わかばやしごう
犯人はシルヴァーナです。いきなりネタバレで申し訳ありまんが、あんな男にタラシコマれるのはシルヴァーナがバカだからであろう。だいたいワルターという名前からしてワルそうなのに、気づかないなんて頭がわるすぎる。シルヴァーナ・マンガーノの健康的なエロチシズム、みたいな惹句がせこい。確かに稲作とエロスを融合させた作品で、泥田のなかで女どもがボインとかつかみあって繰り広げるムチムチボインボインのキャットファイトは目をひくのだが、私にいわせると非常に即物的で味気ない光景である。エロチチズムはもっと淫靡な哲学性をはらんでいるべきだと思うのだ。一方よくわからないシーンも多い。雨のなかうちひしがれた行列が不気味な歌を合唱するシーンが怖い。シルヴァーナが「やめて、やめて!」と叫ぶのだがなにをやめたらいいのかわからない。昔の映画はこういう意味不明な演出がたまにあるので怖い。屠殺部屋での攻防戦もなかなか迫力がある。牛の死体がゆらゆらと不吉な影をつくるホラーな演出が効いている。牛の死体は死を象徴してるのだろう。しかしあれだな。あれだけ必死になって米を作って、報酬も米だけというのはなんとも気の毒な話だ。★