悪魔の植物人間
「FREAKMAKER(THE MUTATIONS)」(1973 UK Directed by Jack Cardiff)邦題「悪魔の植物人間」Region1 字幕なし
食虫植物と人間を合体させたら楽しいだろうな、という幼児的発想で作られた映画。冒頭に出てくるキノコの成長やハエトリソウの動きを早回しで捉えた映像が美しい。こういうのを見ていると、植物のもつグロテスクな美しさ・貪欲さ・凶暴さが感じられ、そこに動物的な意志を投影したくなるのも無理はない。神話の時代から、中世の錬金術、現代のクローン技術の例を挙げるまでもなく、「まぜるな危険」への抗いがたい欲求は人類の普遍的な業なのだろう。メタモルフォセス(肉体変異)を題材にした映画としてはなんじゃこりゃという感じで、特撮ヒーローもの一本分をダラダラと引き伸ばしたような代物である。ウツボカズラとハエトリソウに合体させられたひとが怒ってキチガイ博士に復讐するのだが、いかんせんルックスが笑えるのでぜんぜん迫力がない。むしろうらやましいぐらいである。自分もあんな風にウツボカズりたいとすら思う。いちおう本物のフリークスを脇役に大量投入したという一点でトッド・ブラウニングの「フリークス」などとも比較されるようだ。サイドショーがもつ猥雑なエネルギーや、異形者への畏怖とあこがれ、「サーカスに売り飛ばすぞ」という脅し文句の恐怖。見世物文化の魅力は、やはり我々の本能的な部分に関連しているように思う。★
「コンナ姿にしやがって!」 「ごめんごめん」 |