キシュ島の物語
「キシュ島の物語(GHESS HAY KISH/LES CONTES DE KISH)」(1999 イラン)77分
ペルシャ湾に浮かぶキシュ島の観光PRのために作られた短編オムニバス。
第1話『ギリシャ船』(ナセール・タグヴァイ監督)・・・退屈。とりちらかったゴミの乱雑さと延々つづく奇妙な祈祷シーンしか覚えていない。ξ
第2話『指輪』(アボルファズル・ジャリリ監督)・・・貧しい市井の日常風景を淡々と描いただけのもので、はっきり言って退屈。砂浜とボロ小屋を背景に借りなければ観れたものではない。ξ
第3話『ドア』(モフセン・マフマルバフ監督)・・・秀逸。巡礼めいた親子の移動生活をめぐる物語。砂漠を行くドアを背負った親爺、仔ヤギをひきずり倒す黒装束の少女。ひきずられまくる仔ヤギのいやそうな鳴き声だけで既に萌え萌えですが、絵画的な着想と映像美で惹きつけるマフマフたんの魔術はいつもながら素晴らしい。親爺が背負っているのは、空色の壁と合体し、内と外を反転させる超現実のどこでもドアである。長い長いラストシーンの揺らめく海面と親爺の情けない台詞、そこにヤギの鳴き声が絶妙のBGMになっていて、ニヤニヤしながら脱力できる逸品。★★
【総評】マフマフたんに尽きます。★