今週の廃壇
お題 「殺気」
金賞 : 水ぬるみ 窓に木乃伊(ミーラ)の 影うつる
【寸評】春の陽気に浮かれてミーラも目覚めた。手に汗にぎる一齣。
銀賞 : ペチカっ子 暖炉に焼(く)べて 家点火
【寸評】極小から極大へのゆらぎと暴走。ペチカっ子とは何か不明だが。
銅賞 : 牛がゑる 踏んであたまの 鉢われる
【寸評】路上でずるむけになったウシガエルの死体を踏んだところ、すべって転んでコンクリートの角で頭を打って割れて脳が出てしまった(どうしてくれるんだ)。因果の掟の厳しさとカタチあるものの哀しみを詠んだ句。
次点 : 旅の空 出会いふれ愛 なぐり愛
【寸評】肩ふれ合うも多生の怨。そこに芽生える愛もある。
(選者より)
廃句の神髄は叙事と抒情の振幅にあり。現象の背後の陰翳(かげり)を写し撮るキャメラと心得よ。