海と毒薬
「海と毒薬(1986 日 熊井啓監督/遠藤周作原作)123分
遠藤周作という人はエッセイでうんこの話を書きなぐる傍ら地味な宗教テーマの本をせこせこ出していたというぐらいしか知らないのでてっとり早く映画を観てみた。戦時中にアメリカ兵捕虜を生体解剖し、オモチャにしたという実話に基づく作品。死体マニア、内蔵マニア、カニバリストたちがワラワラと群がって解剖現場を見物、固唾を飲んで見守るなか、隅っこでヘタレ医師役の奥田瑛二がオカマのように顔を覆っているという図式。手術シーンはモノクロ映像も手伝って比較的エグめに仕上がっており、その方面のマニアにもそれなりに楽しめると思う。とりわけ心臓をモミモミして生き返らせるシーンは圧巻。ただ、極限状況下での人間の罪を深く静かに問う、という感じの映画にしたかったのだろうが、いまいち散漫な印象を受けました。登場人物の行動原理の分かりやすさもさることながら、731部隊ほど解体しまくったわけでもないのでさほどおぞましさを感じなかった。でも個人的には笑顔を見せない冷徹な岸キョンが萌えなので退屈はしなかった。★