タナカヒロシのすべて
「タナカヒロシのすべて」(2004 日 田中誠監督) 103分
節分に 集う家族や 自己破産
夕陽射す 人形愛でて 勃起せり
カッターで 薄く目頭 雲走る
「ひみつの花園」風の脱力コメディを期待していたのだが、最後まで地味というよりも笑えないコメディだった。鳥肌実演じるタナカヒロシが困難に立ち向かうでもなく、仏頂面でひたすら淡々と不幸を受け入れていくだけの映画。主人公は朴訥ながらなかなかの好青年に見えるけれども、その要領の悪さはヘタをすると自画像を観ているようでいたたまれない気分になる。もちろん環境の変化がもたらすあるかなしかの成長のようなものも描かれているわけだが、現実がそれほど甘くないのは言うまでもない。というわけで数少ない見どころの一つは「テルミンと俳句の会」のくだりであろう。このときばかりはインスマス出身の市川実和子もなぜか美しく見える。というか加藤楸邨には受けた。その他、加賀まり子、西田尚美など私の好みの女優、そして小島聖がエロすぎるのと猫がかわいいのでそこそこ観れた感じ。で、なんか検索していると映画より鳥肌実のインタビューの方がおもしろかった。
「私ほどのルックスとわけのわからない存在感がある役者はほかにはいない! 和製アル・パチーノでございます。」★