ハンテッド
「ハンテッド(THE HUNTED)」(2003 米 ウィリアム・フリードキン監督)95分
ラッパや笛が鳴り響く 一億の天使が合唱する
死の地を目指し群集が行進する
叫び声に泣き声 生まれる者に死ぬ者
まさにそこはイエスの御国
オープニングから銃撃戦がダラダラつづくので退屈だなあと思っていたら、なかなか地味で渋い作品でした。トミー・リー・ジョーンズはヒトゴロシのエキスパート。といっても単なる殺し屋ではなく、平和と民主主義の維持という崇高な目的のもと人間のコロシカタを教えるエキスパートである。しかし戦場に送り込んだ優秀な教え子のひとりが、伊達邦彦ばりのキチガイになって帰ってきます。まるで近所のポストに子供を使いに走らせたら行方不明になり、数年後に郵便局員になって戻ってきた、みたいな感じでしょうか。あるいは遠くに投げた棒をとりにいかせた犬が行方不明になり、数年後に人間の腕をくわえて帰ってきた、みたいな感じでしょうか。いいかげんわけのわからない喩えでごまかすのはやめたほうがいいでしょうか。しかし武器の作り方とか息の根の止め方とかけっこう具体的に描かれていて、へええ〜、こうやるのかあ、勉強になるなあと思いました。いえ、やりませんけど。手作りで武器を作るシーンが萌える。オッサンが何かを懸命に作っている姿というのは有体に言ってカワイイ。むかし五寸釘で手裏剣を作って遊んだのを思い出しました。あと「自分の手で殺すのが相手への敬意だ。銃にはそれがない」というハラムの言葉には思わず膝を打ちました。まったくその通りだと思いますね。いえ、だからやりませんってば。★