コープスブライド
「コープスブライド(CORPSE BRIDE)」(2005 米 ティム・バートン監督)77分
ひょんなことから死体と結婚してしまった男。しかしその死体はゾンビのように動き回れば言葉も話し、感情まで持ち合わせていた・・・。いきなり致命的なことを申し上げるようだが、この映画、はっきり言ってリアリティがまるでない。まず、死体がちゃんと死んでいない。腐敗過程でありながら片腕のみが白骨という傍目にも明らかな矛盾もさることながら、やはり前提として死体があんなに楽しげに歌ったり踊ったりしてはいけないのである。死体フェチズムの観点からすると、あまりにも都合よくデフォルメされたあの世観と言わざるを得ない。唯一ちゃんと死んでいたのは白骨化したイヌとコドモぐらいのものであろう。もうひとつ致命的なのは、画が綺麗すぎるという点。ストップモーション・アニメ特有のカクカクした動きが排除され、ただのフルCGにしか見えないのである。こんな滑らかで平面的な映像ではパペットの質感がほとんど生かされない。ストップモーション・アニメがCGに歩み寄ってどうするのか、と言いたい。加えて「きかんしゃトーマス」のごときオーバーな顔面運動により表現されたパペットのキモい情感も、たとえばシュワンクマイエルが作り上げるパペットの無表情が醸し出す圧倒的な禍々しさに比べればまるで迫力がない。いろんな意味で丁寧に作りすぎた(構想10年らしい)のとその間の技術の進歩が仇になったとしか言いようがない。以上、いろいろ申し上げましたが、ラストシーンが尋常ならず美しいのが救いです。★