現金に体を張れ
「現金に体を張れ(THE KILLING)」(1956 米 スタンリー・キューブリック監督)85分
うーん、なんかフツーの犯罪映画って感じでしたね。というか人物描写やプロットの説明に延々費やされており、映像的な快感があまりない。動く幾何学構造や被写体に歩み寄るモノ化したカメラ、といったキューブリック的な(とわたくしが思い込んでいる)映像美学が欠けているのである。随所に説明的なナレーションが挿入されるのもどうかと思う。台詞だらけの映画って正直めんどうくさい。聞いたり読んだりするだけで疲れてしまうのである。それは「映画」ではないだろうと。映像を超越しない言葉が退屈なのと同様、言語を超越しない映画もまた退屈である。いっぽう予告編で紹介された「非情の罠」の映像と音楽がホラーチックで、むしろこっちを観たくなった。★