地獄甲子園/ラーメンバカ一代
「地獄甲子園(BATTLEFIELD STADIUM)」(2002 日 山口雄大監督/漫☆画太郎原作)87分
「星道はん、変な言いがかりはやめとくんなはれ。ほんならまるでわしらが殺したみたいやないけ。わてらは普通に野球してただけでっせ。こいつらが勝手に死んだんや」
冒頭、いきなり「おまえらこのDVD100枚買って燃やしてまた100枚買え」と原作者(外人)自身が宣言し、観客を挑発する。その挑発どおりに本作は弛緩しきった空気のなかに稀釈された毒気がゆるゆると漂う不可解な怪作となっている。映画文法の無視と映画そのものへの冒涜、徹底した意味の放棄と解釈の拒絶を通して既成の価値体系をいかに転覆するかに主眼が置かれ、観る側と観られる側を規定するメタフィクションの枠組みすらも嘲弄の対象となり、能書きを垂れるのに必死な唾棄すべき賤民思想に毒された映画ヲタという名の精神的インポテンツどもが挙って称揚するいわゆる映画的な文脈はゆるやかに解体される。面白くはないが、ビジュアリスティックに完結した幼児的世界の巨大な墓場を構築した功績は評価に値する。★
「地獄甲子園外伝 ラーメンバカ一代」
解脱の境地すら覗える憂鬱なアンファンテリズムを湛えた快作。本作は一見めちゃくちゃなように見えて魂の救済とかいろいろ崇高なテーマを孕んでいるのだが、説明するのがめんどくさいので説明は省略する。漫画太☆彡郎という人の原作は読んだことがないので知らないが、非常に興味深い世界観だと思った。★1/2