ある子供
「ある子供(L' ENFAN)」(2005 白・仏 ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ監督)95分
ダルデンヌ兄弟の映画には毎度のように同じ役者が登場するし作風からストーリーに至るまでだいたい同じなので感想もだいたい同じにならざるを得ないのだが、今回もまたちょっとアレな人たち、一般にドキュンと呼ばれる人々のやさぐれた日常とその破綻、そして再生の可能性をひたすら淡々と描いた作品だが不思議と退屈はしなかった。まともな生活を求め続け最後に涙をみせる「ロゼッタ」に比べるとこの作品で泣き崩れる主人公は救いようのないバカだが、無知で愚かな者の悔悟の涙を責めることはできない。バカってつらいよね(笑)。それにしても一番びびったのはこの映画の日本版予告編のひどさである。これほど寡黙な作品をあたかもオシャレ感動映画であるかのごとく仕立てあげる配給会社のあきれた商魂。★1/2