幻魔大戦
「幻魔大戦(HARMAGEDON)」(1983 日 りん・たろう監督/平井和正・石森章太郎原作)135分
(あらすじ)
大宇宙の破壊者「幻魔」の接近を予知した宇宙の意識体「フロイ」(実体は美輪明宏)は、サイボーグ戦士ベガ、エスパー少女ルナに地球の危機を訴える。ルナの呼びかけに応じ、日本の高校生、インド人、インディアン、カンフー娘、エマニュエル坊やら世界中のサイオニクサー(超能力者)が集合。地球の運命をかけた超能力戦争がいま、始まった!
(かんそう)
ひとことで言うとたいへん恥ずかしい映画である。記憶の片隅にそっとしまいこんで、そのまま葬り去りたいような作品。冒頭のババアのダンスからしてもうヤバすぎなのだが、肌に粟を生ずべきダサいオーラが全編に横溢している。りん・たろうの古めかしいSFアニメ的表現*1、大友克洋の中途半端に写実的なキャラクターデザイン、物語のスケールを消化しきれず下痢したような脚本、カッコいいのか悪いのかよくわからない意味不明な台詞*2、キース・エマーソンの能天気なシンセ音楽*3・・・これらが見事なまでにまったくかみあわず、互いにあさっての方向へ暴走しているというありさま。先端的な映像表現を目指した結果、稀にみるヘンテコな作品が出来上がったという感じです。まあ超能力戦争というテーマからして陳腐さと隣り合わせなのだが、へんなカルト臭をまきちらしながら観客そっちのけで展開していく強引さは壮観ですらある*4。作品そのものよりも、各界の重鎮が集結してこんな豪快な珍作を作りあげたという事実の方が重要なのだろう。かくして本作は80年代ジャパニメーションの黎明を告げそこなうとともに、日本アニメ史上に燦然とかがやく巨大な墓標を派手に打ち立てたのであった。★
http://youtube.com/watch?v=TD7tw7BECoA