ポビーとディンガン
「ポビーとディンガン(OPAL DREAM)」(2005 濠・英 ピーター・カッタネオ監督)86分
幼児が人形に人格を投影したり妄想のオトモダチを飼ったりする例はしばしば見受けられます。映画においては、人差し指に意識が宿った「シャイニング」のダニー坊や、人格が分裂した「黄昏に瞳やさしく」のパペレたんなどが挙げられますが、この映画のケリーアンはなんと二匹もオトモダチを飼っている。きわめて稀な症例と言えるでしょう。もちろん彼らの姿は本人にしか見えないし、本編にもいっさい登場しない。唯一ケリーアンの稚拙な絵から想像されるポビーとディンガンの容姿はじつに人間ばなれしており、魔界からの使者を思わせるものがある。じっさい子供たちの見ているものが本当に妄想なのかどうかは怪しいもので、「悪魔の棲む家」「ポルターガイスト」みたいにホンモノの幽霊か妖精、はたまた妖怪のたぐいが見えているかもしれないのである。で、最終的にポビーとディンガンは行方不明のすえ死んでしまい、地面に埋められてしまうのですが、あっさり死んでしまうところを見ると、極端に弱いバケモノか、やはりただの妄想だったのかもしれませんね。妄想のオトモダチを葬るために棺桶にチュッパチャップスを投げるシーンは不覚にも泣きそうになりました。いやー、いいお葬式だった。ちなみにわたくしも脳内に美少女のオトモダチとヨメと子供と愛人2匹を囲っており、おまけにペットのネコとスズメとイタチを飼っているので破産寸前です。★