今日の童話
赤い靴連続殺人事件 1ねん1くみ もりしげひさや
『だって、ママはあたしに赤い靴を買ってくれなかった! ママは、あたしに、赤い靴を、買ってくれなかった!』(赤い靴連続殺人事件 完)
「うーん、とりあえずこんなもんかなあ・・・」と万下長太郎は筆を置いた。「しかし、これで果たして読者が納得するのだろうか?」
どんなピンチであろうとも適当にごまかせばなんとかなる、というのが長太郎が80年の人生で学んだ人生哲学である。だが、どうして赤い靴を買ってもらえなかったことが、この一連の凄惨を極めた《赤い靴連続殺人事件》の動機になりうるのか、長太郎は自分でも説明できなかった。なぜなら長太郎の頭脳には既に痴呆の兆候が現れていたからである。
長太郎はぼけた頭でなおも思考を続行する。
「・・・動機とかトラウマとかってよくわからんしなあ。でもまあどうせ読者なんて全員あほだし、真剣に読んでないだろうからいいや。というか真剣に読むほうがおかしい。だって、作り話だぜ?そもそもつじつまがあわないのが虚構ってもんだろう?それをことさら嬉しそうに指摘したり言うに事欠いて万毛長太郎はぼけてきた!などとあることないこと(作者死亡により未完)