ハード キャンディ
「お前はだれだ!」
「あんたが欲情した"すべての少女"よ」
「ハード キャンディ(HARD CANDY)」(2005 米 デヴィッド・スレイド監督)103分
年端も行かぬ少女におやじがいてこまされるという設定は、わたくしども変態にとってもうひとつのささやかな夢だったりするわけですが、「白い肌の異常な夜」「小さな悪の華」「メイクアップ」「ミザリー」「オーディション」のような映画を先に観てしまっている以上、残念ながら本作は薄っぺらな焼き直しにしか見えなかった。中年キャメラマンが美しからざる少女にプチ拷問を受けるのだが、きっかけが出会い系サイトという現代的な安易さはやむをえないとしても、最大の見どころであるはずの《タマ落とし》がただのヤラセと発覚する時点でカリ首をかしげざるを得ないし、あっさり説明される動機らしきもの、要するにぺドフィリャーを断罪するという少女の目的があまりにも凡庸でがっかりした。というか主演女優が少女ではなく普通のおばさんなので興味を失ってしまったというのが真相だったりする。タイトルの"Hard Candy"とは勃起したおちんちんを意味する俗語であるが、映画半ばで"Soft Candy"と化したのは云うまでもない。★