ちんこぶらり日本ひとり旅
ひさしぶりに訪れた東京はこじきの群れでごった返していました。
蛸足のように無数に伸びた構内の端から端までこじきの群れが連綿と続いています。
彼らは一体どこから湧いてどこへ消えていくのでしょうか。まったくの謎でした。
構内の狭い一角をなにかのイベントが占拠し、物見高い群集があれよあれよというまに参集します。殺到するやじうまとやじうまを見物するメタやじうまが奏でる協奏曲。悪夢のごときその光景を呆然と眺めながらわたくしは、こいつらを踏んづけて歩いてもいい法律ができないかなあと心の中でつぶやきます。
せっかく東京まで来たのだからどこか見物していこうかとも思いましたが、見るべきものが特になかったのでそのまま引き上げました。
帰りの新幹線のなかで、中●人の親子連れと隣り合わせました。
中国人の夫婦はものすごい勢いでわけのわからんことをしゃべっています。おまけにモノを何回も落とすわ食べ散らかすわ赤ん坊がギャーギャー泣きわめくわもう一匹の餓鬼はウロウロ走り回りすっ転んで頭を打ってこれも泣きわめくわで地獄のような時間でした。
わたくしは旅行が嫌いです。
こう申し上げると、旅行好きは「信じられない」といった顔をします。それはこちらの台詞です。いったい何をしに行くんですか?
はっきり申し上げますが、旅行はこじきのための娯楽です。
金と時間をかけて長時間の移動を耐え忍び、目的地に着いた頃にはくたびれはて、どうでもいい石ころを見物したり猿と一緒に温泉につかったあげく、しょうもないみやげものをぶらさげて帰る。これがこじきの娯楽でなくてなんでありましょうか(笑)。
というわけで、この機会に《乞食の特徴のガイドライン》を策定しましたのでご参考ください。
・身の回りの品(ケータイヂンワなど)にやたらとシールを貼る。
・ぬいぐるみなどを必要以上にかばんにぶらさげている。
・ぴかぴかしたものが好き。
・紙袋をぶらさげている。
・あたりかまわず大声でしゃべる。
・階段の途中や道の真ん中でとつぜん立ち止まり、通行を妨げる。
・何かしら常にもぐもぐ食べている。
・ズボンが破れている。
・キョロキョロする。
・ブログで「日記」をつけている。
オメデトウ諸君、合格です。ここにこじき認定証を贈ります。
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目が覚めたときわたくしの頬は涙で濡れておりました。
わたくしは夢のなかで、大移動するこじきの群れのまぼろしを見たのでした。
ゆらゆら風にゆれているのはきんたまです。