ロマン・ポランスキー短篇全集
「ロマン・ポランスキー短篇全集」(ロマン・ポランスキー監督)
チャールズ・マンソン事件(「ローズマリーの赤ちゃん」→シャロン・テート殺害)や少女暴行の罪で国外逃亡中であることでも知られるロマン・ポランスキー監督の初期短編集。
「殺人者(MORDERSTWO / A MURDERER)」(1957 波)2分
ん?(笑) ☆
「笑顔(USMIECH ZEBICZNY / TEETH SMILE)」(1957 波)2分
時に人間の笑顔ほどキモイものはない。☆
「パーティを破壊せよ(ROZBIJEMY ZAVAWE... / BREAK UP THE DANCE)」(1957 波)8分
パーティに入れてもらえない無軌道な若者たちが怒っておおあばれ(笑)。ラストの人形たんが異常でステキです。★
「タンスと二人の男(DWAJ LUDZIE Z SZAFA / TWO MEN AND A WARDROBE)」(1958 波)18分
モーセン・マフマルバフの「ドア」を髣髴させる作品。桎梏を背負った二人の男が海から現れ海へ還っていく。名作との呼び声高いが、「ドア」の方がトポロジカルな綺想で面白い。★
「灯り(LAMPA / THE LAMP)」(1959 波)8分
「反撥」「テナント」などの神経症ホラーに通じる傑作。燃え盛る人形を捉えているだけなのだが、あらゆるショットが変態的で画面から作者の異常性が滲み出ている。★★
「天使たちが失墜するとき(GDY SPADAJA ANIOLY / WHEN ANGELS FALL)」(1959 波)21分
公衆トイレの受付をするババアの追憶と妄想を描いた秀作。「ナインスゲート」のエマニュエル・セニエみたいに舞い降りる天使がしぶい。最後はミニチュアより空撮の方がよかったな。★1/2
「太った男と痩せた男(LE GROS ET LE MAIGRE / THE FAT AND THE LEAN)」(1961 仏)15分
ゆるいコメディ作品だが、ヤギと鎖で繋がれた男が四つ足を引きずり倒すというこれもマフマルバフの「ドア」に通じる主題が興味深い。ヤギに翻弄されるポランスキーの間抜けぶりが見どころ。ヤギへの妄執は詩人の必須条件です(笑)。★
「哺乳動物たち(SSAKI / MAMMALS)」(1962 波)11分
猛吹雪の中のコント。画面が真っ白で何が起こっているのかわからないし昔のオワライ風の寒さが(笑)。☆
(総評)
いずれも台詞のほとんどない短い無言劇です。病的なコメディ「灯り」といささかおセンチな「天使たちが失墜するとき」がよかった。