少女には向かない職業
「少女には向かない職業(Vol.1〜3)」(2006 日 高橋陽一郎監督/桜庭一樹原作)421分
(あらすじ)
無職の義父のDVに怯える母子家庭の健気な少女と両親のいない孤独な文学少女との間に芽生える幼い殺意。可憐さでカモフラージュされた少女たちの黒いコンスピラシーは深く静かに潜航しつつ、ひそやかにその加速度を高める。その間にも義父のダメ化は着実に進行、最低ぶりにますます磨きがかかり、ついに決定的な破滅を迎える・・・
(かんそう)
乙女二匹による殺人(笑)を描いたドラマ。死と血なまぐささという思春期ものに欠かせない要素とお望みの結末をもった物語で全体的に気に入りました。ま、美少女に不幸のスパイスを振りかければおじさんのような変態は無条件で萌えるんで、その意味で「少女に向かない職業」なんてないと思いますね。暴力で憂さを晴らすサイテーの義父役の人がおもしろい。素のままなのか(笑)リアルすぎて笑えます。主演の緑友利恵たんと多島有魅香は思春期少女の不安定な心理、不機嫌で研ぎ澄まされた意志を体現していて萌えますた。おいしいシーンもたくさんあるので観て損はないでしょう(オススメはVol2.の1:50頃の緑友利恵たんがびしょぬれになるシーン)。惜しむらくはトータル7時間という長尺。引き伸ばしや繰り返しは目をつぶるとしても最終話は完全に蛇足だと思います。犯罪に至る少女の心理と結末の不条理に萌えるのがこの作品の主目的なので、つまらない「後日談」を描いた意図がわからりませんでした。余談ですが舞台となった下関の町に異様な佇まいが感じられてよかったです。漁港の特殊な雰囲気というか臭気というか、ふぐを模ったオブジェがあちこちに点在していたりと、デフォールトでインスマス的なシンボルに囲まれているんですね。半魚人の出現を予感させるいいロケーションだったと思います。★1/2