叫
「叫」(2006 日 黒沢清監督)104分
「長い暗闇でした。私はそこから一歩も出ることができなくて、ずっと孤独でした。それから全部の感覚と、思い出と、人間としての感情が、ひとつひとつ消えていって、最後に絶望が残りました。」
いやー、あいかわらずキヨシたんは笑わせてくれますね。お話はごく単純で要するに幽霊の鬱憤晴らしなのですが、面識のない女の幽霊につきまとわれ、昼夜の別なく高音の幽霊ボイスでイヤガラセを受ける。褪色したキモチ悪い幽霊が画面の隅で硬直していたりモノカゲからこっそり覗きみていたり空を飛んで移動したりと、これはもう笑うしかないでしょう。おまけに変にリアリティを追求せず不自然にコラージュされているのが却ってリアルで笑えました。人間の方も幽霊のたくらみによってアクロバティックな死にざまを見せてくれますので、これ以上の映画的快楽もないように思います。ホラー映画って一種の淫夢ですね。拘束されたまま幽霊にちそこをいじり倒されるような淫靡な夢。奥貫薫とか小西真奈美とか葉月里緒菜とか童顔の熟女が出ている点も好感が持てます(笑)。★1/2