シティ・オブ・ザ・リビングデッド
「シティ・オブ・ザ・リビングデッド(CITY OF ROTT)」(2006 米 フランク・スドル監督)77分
ジジイを主役にゾンビをアニメ化、と聞くとちょっとおもしろそうだが、ゾンビアニメという目新しさ以上に何の付加価値もない凡作。それどころかゾンビ映画のダメな部分を凝縮したような代物である。紙芝居にも似た平面的な世界をジジイがブツブツ言いながら歩きまわりひたすらゾンビを潰していくのだが、同じようなアングルと同じような切り替えばかりで見せ方にまるで工夫がなく、グロ描写も「HAPPY TREE FRIENDS」なみの悪趣味に徹するならまだしも殺し方が一本調子でこれまた凡庸、そこへさらに安っぽいゲーム音楽もどきがのべつ流れて眠気を誘う。ジジイの繰り言と散歩につきあわされただけの退屈きわまる小一時間であった。そもそもなぜジジイが主役なのか。ゾンビ映画の主役はもちろんゾンビである。かわいいゾンビのモーローとした動きとかっこいい音楽さえあれば他には何もいらない。わたくしが観たいのは人類によるゾンビの退屈なジェノサイドではなく、ゾンビによる人類の壮大なアニヒレーションなのである。人類ちゃんの断末魔に涙を流しながらゾンビ的思考停止の悦楽に溺れたい。それが今のわたくそどものたったひとつの儚い願いである。ξ