ナイトミュージアム
「ナイトミュージアム(NIGHT AT THE MUSEUM)」(2006 米 ショーン・レヴィ監督)108分
大衆娯楽の王道(笑) 1ねん1くみ けいんこすぎ
(あらすじ)
自然史博物館の展示物が古代エジプトの呪いによって目覚める。
(かんそう)
歴史上の事物が時空を超えて一同に会する、という歴史ごった煮の楽しさを狙った大衆娯楽(笑)だが、どーにもこーにもなまぬるい。ここまで毒がないと人畜無害を通り越してアクビ連発である。この圧倒的な生ぬるさの原因はいくつも挙げられるが、まず登場人物が一匹も死亡しないのが致命的。血で血を洗うはずの異種間紛争から凄惨な部分をそぎ落として一致団結、お清潔なエンタメの真綿にくるんで提示しているが、んなワケネーダロ(笑)と思った。さらに非生物の運動という本作の最大の特徴をまったく生かせていない。人形という絶対的な虚無を内包した存在が動き出すから怖いのであって、人間そっくりの人形に人間性が宿って動き出したらそれはただの人間ではないか(笑)。「デビルズ・ゾーン」のマネキンが醸し出していた凶悪なほのぼの感を少しは見習うべきだろう。おまけに展開が無難すぎる。ここまで荒唐無稽な話ならむしろ破綻しない方がおかしいのに、なんやかやと屁理屈をこねて整合性を維持しようとしている。結果的に作為性が浮き彫りとなり、緊張感のかけらもない気の抜けた映像をへをこきながら眺める羽目になるのだ(笑)。あとセリフも多すぎる。視聴覚刺激を伴わない言語情報がつめこまれているが、はっきりいって邪魔。めんどくさくていちいち聞いてられません。お仕着せのドタバタと予定調和のハッピーエンド。まさに大衆娯楽の傲慢さを象徴するような作品である。ミッキー・ルーニーがまだ生きているという事実が本作でいちばんショッキングであった。★+ξ