今日の童話
八月の股間のうずきにも似た萌え 1ねん1くみ じょうしましげる
あやしい太陽がぎらつく炎天の午後。
遠くから、かすかに、うなるようなおきょうのおとがきこえます。
わたくしが股間をおさえながら歩いていると、むこうから男がやってきました。男はわたくそを見ると心底うれしそうに尋ねてきました。
「オヤオヤ、あなたのその貧相なちんぼうがどうかなさいましたか?」
「どうしたもこうしたもあるか!みよ、わたくしのこの貧相なちんぼうがだ、今朝から悲鳴をあげているのです、って誰のちんこが貧相じゃい。それはともかくなんなんだこの突き刺すようなちんぽの痛みは!あたかも灼熱したやすり棒で尿道を貫かれたかのような鋭い、だが懐かしい痛み。そうか、ちんぼうを覆っている布きれ、俗に言うパンツが亀頭先端の鈴口に付着したまま乾燥し、挙動のたびに亀頭周辺の皮膚をネジリあげているのではないかとわたくしのかしこい頭脳が判断したがどうやらまちがっていたようだ、なぜならわたくしはパンツをはいていないからだ。そういうわけでわたくしは粗末なち●ぼうの激しい痛みになおも汲々として耐えているわけだが、おかげで心底情けない気分である。身も世もないとはこのことだ。右も左もわからないということがばあるが、左右がわからないのは認知症の兆候であって正しくは西も東もわからないというべきであろう。しかしながら日常生活において東西南北などおおむねどうでもいいことであって、常に意識しているほうがまれである。方位磁石なしに太陽の方角などで東西南北を測る技術もあると思うが、地軸の傾きやら季節による条件の変化を考慮に入れると脳溢血で死にたくなるというものだ、そうだろうキミ!だから金をくれ!」
おきょうのおとはますます高く大きくなって、わたくしをくるしめます。
「それはこじきののろいだ!」と男は言いました。「おまえのせんぞはこじきで、坊主に金を無心したが断られた。そのときの怨念パワーが凝結して現在の時空をしはいしているのだ!何か思いあたるふしはないか!?」
「そういえば、わたくしは子供のころから他人のものを欲しいと思ったり、道に落ちちえいるエロ本を隠れて読んだり、ものをひろって食べたくなる衝動にかられることがありました」
「それだ!それこそはせんぞから受け継がれてきたこじきの血のなせるわざだったのだ!」
わたくしは軽くショックを受けつつもなんとなく納得し、背中に隠し持ったネガティヴハッピー・チェンソーで、しめやかにやつの首を斬り落とした、夏。
おきょうのおとはもうきこえませんでした。