左利きの女
「左利きの女(DIE LINKESHANDIGE FRAU)」(1977 西独 ペーター・ハントケ監督/ヴィム・ヴェンダース製作)115分
♪うんこはしっこと踊る しっこはうんこと踊る うんこはつばと踊る
(あらすじ)
ヒゲの濃いキショイ夫と別れた女は息子と二人で暮らしはじめるが、うるさい子供のせいで翻訳の仕事がはかどらず、次第に精神に変調をきたす。
(かんそう)
全体的に地味なコントのような印象を受けた。ハリウッド式の押しつけがましいエンタテインメントとは違い、じわじわ来るおかしさがある。褪色したようなフィルムの沈んだ色調、随所に散見されるクラシック音楽(バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」、ベートーベン「エリーゼのために」)が効果的。サバの背中の模様のようなキモイ夜空や謎の飛び降り自殺、赤ん坊のキモイびっくり顔など、おばはんが静かに狂っていく予兆として奇妙な凝視や幻視があふれていておもしろい。★