世にも奇妙な漫☆画太郎3
- 作者: 漫画太郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: コミック
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《アフォリアリズム》の頂点を極めた漫☆画太郎の世にも奇妙な短編集第三弾。
「ゲボラ」今際のきわですら希望を失わない主人公の姿は涙なしに見られない。《最高の笑顔で死ねること》、生の意義を真摯に問うた異常作。★1/2
「ゲームNO」またしても途中放棄したかのような全力の投げやり&尻切れ蜻蛉ぶり。日々白痴化する現代人のパロディと見れば感動もひとしお。★
「壁の声」同じコマを数ページに渡って使いまわす確信犯的な手法はさらに巧緻を極める。無限ループする悪夢の手触りを残す貫禄の手抜きホラー。★1/2
「反抗期」美しい家族愛と人体損壊の残酷な落差がOヘンリーを裏返しにしたかのような絶望的余韻を残す。現代社会の親子問題に鋭く切り込んだ秀作。★1/2
「正夢」最後の展開はあまりにシュールすぎて理解不能。もっとも作者が途中放棄した可能性もある。★
「ピースサイン」事故現場でピースサインをしたため霊に祟られた若者。最高の笑顔で凄惨な最期を迎える主人公をあくまで冷徹に描写し、無軌道な若者への警鐘を鳴らした問題作。★
「三ツ星レストラン」に隠されたあまりにもおぞましい秘密。もはやポエティックといわざるを得ない。★
(総評)
登場人物たちがしばしば直面するシュールレアリスティックな状況。それらは極めて非現実的でありながら現実的な不安に直結しているという逆説を持つ。彼らが頻繁に発する「どないしよーっ」という叫びに人間の実存的不安が端的に集約されている。そのような実存的不安の渦中に提示された迫力あるリアルなゲロや下痢、露出されたちんこは往々にして人々の焦燥を回避するための契機として機能していることに気づく。そこにこめられた作者の真摯なメッセージに深く感銘せざるを得ない。★1/2