I Hate Myself and I Want to Die
さいきん通い始めた英会話スクールの担任はイギリス人だ。ご存知のようにイギリス人はoftenをオフトゥン、canをカン、eitherをアイザーと発音する。elevatorはliftで、subwayはtube、fuckingはbloody。「トイレは2階です」と教えたら3階に行くらしい。めんどうくさい連中である。
ところで生徒はみなファーストネームで呼ばれるのだが、わたくしは自分の名前がキライだ。dislikeというよりむしろhateに近い。だから自分の名前が呼ばれるのが恥ずかしくて仕方がない。わたくしは由緒正しいサノバビッチ家の生まれだが、如何せんつけられたファーストネームがまずかった。画数が少ないくせにやたら子音が多くて発音しにくいうえ、うまく言えないが語感に一種の敗北的なニュアンスを含んでいる。たぶん祖母が何も考えずに適当につけたのだろうが、おかげでわたくしは外人から呼ばれるたびに羞恥プレイに甘んじねばならない身の上になってしまった。言っておくがわたくしは姓名判断なぞというインチキを信じない。あんなもん本気で信じてるやつはアホだ。血液型性格診断が正しいとマジで思ってるやつと同じぐらい救いようのない深刻なアホである。しかし自身の名前になんとなく呪われた宿命を察知したわたくしは、中学生のとき当時コックリさんやインチキ占いに凝っていた姉(アホ)に画数を調べさせたところ、しばらくしてアホの姉は暗い顔でわたくしにこう告げたのである。「あんたの字画、最悪やで・・・」
そこへトドメをさしたのが当時の嫌味なクラスメート(仮にオヤマダとしておく)の一言だった。
「オマエは可愛くて勉強ができるかもしれへんけど、将来は墓掘り人か爆弾魔やな。なんせその名前やし(ワラ」
・・・それを聞いてわたくしは妙に納得してしまい、
「なるほど、確かにこんな名前では将来墓掘り人か爆弾魔にでもなるしかないなあ。ならば運命には逆らわずに今から墓掘りと爆弾作りの練習を!」
と前向きな人生の指針を得るに至ったのである。以後、リアルに墓掘りと爆弾作りをライフワークとするようになったわたくしはオヤマダの暗示をものの見事に成就してしまったわけだが、ほんと人生って何がきっかけで決まるかわかんないよね(爆弾を作りながら)。てかオヤマダ!きさまのミドルネームはたったいま「うんこ」に決定した。今後必ず「うんこ」をつけて名乗るように。
これは命令である。