シベールの日曜日
「シベールの日曜日(SUNDAYS AND CYBELE/LES DIMANCHES DE VILLE D'AVRAY)」(1962 仏 セルジュ・ブールギニョン監督/ベルナール・エシャスリオー原作)116分
"Thank you dear God, in place of my father you sent me Pierre, who is much, much xxxxxxxx!"
ビル・ダヴレイの日曜日 1ねん1くみ みうらともかず
(あらすじ)
戦争中の事故で誤って民間の少女を死なせてしまったトラウマから記憶喪失に陥ったピエール(30さい)は、孤児院でフランソワーズと名乗る少女と出逢います。日曜ごとに散歩に出かける約束をした二人。少女はピエールに父親の影を見、ピエールも少女といることで後ろ暗さから解放されたように感じます。こうしてピエールは次第に骨抜きにされていきますが・・・。
(かんそう)
銅鑼かなんかの断続的な金属音と墜落シーンを描いたかっこいいオープニングで始まる本作。タルコフスキーっぽい感じの水辺の映像と暗いサントラが美しく、全体的に悲劇的な色彩を帯びていてとてもよかった。アルビノーニのアダージョとバッハが流れるとどんな映像でもかっこよくなりますが、この美しいモノクロ映像にはまさにどんぴしゃです。そもそも孤児院とか教会というシチュエーションが確信犯というべきで、かわいそうな境遇にさらされるいたいけな少女に異常な興奮をおぼえるのはわたくしだけではないはずです。これを徹底したのが「禁じられた遊び」や「少女ムシェット」で、運命に抗い続ける少女になおも理不尽な受苦を与えることに主眼が置かれています。しかしやはりおっさんと少女の恋はいいですよね。おっさんと少女がイチャイチャする映像をニタニタしながら見るのはとても楽しいです。パトリシア・ゴッジはものすごく美少女というわけではなくむしろオッサン的な顔立ちですが、不幸な少女特有のしたたかさと同時にどことなく庇護本能をくすぐるあどけなさを併せ持ち、小悪魔のようでもありいたずらな天使のようでもあります。ああそして、陰鬱なオルガンが鳴り響く教会で迎える悲劇的な結末。「ウィズユー」も「キャメロットガーデンの少女」も最後おっさんの死や逮捕で幕を閉じますが、これらはよからぬ期待を寄せる変態どもへのけん制であるのは言うまでもありません。それをもっともストレートな形で表現したのが本作であり、ロリコン映画の金字塔と呼ばれるゆえんです。★1/2