日テレNEWS24
歯の健康診断を受けるため歯医者に行ったら、なぜか院長の診察台に座らされた。たくさん診察台があるなかでなぜよりによって院長なのか。歯科助手も明らかに院長に対してびびっているのが伝わってくる。仮に治療法が間違っていても誰も口出しできないだろう。しかしこの方が却って好都合かもしれない。昨年「なっとらん!」とじきじきに叱られて以来、院長へのリベンジのみを目標にわたくしは生きてきたのだから。あれから1年近く受診をさぼっていたので一抹の不安はあったが、一方でわたくしにはひそかな自信もあった。独自のブラッシング技術をあみだし、日々口腔ケアに努めてきたのはすべてこの日のためなのだ。
ハグキチェックの結果、わたくしのハグキはオール1および2と判定された。これは各歯のハグキにおける死臭ポケットの深度の測定値(ミリ)なので、学業成績の5段階評価とは反対に数字の小さい方が優秀。つまりわたくしはハグキ優等生というわけである。おまえはもう来なくていい、むしろ出て行け!と院長に告げられた。診察が終わり、受付のお姉さんからも当分来なくていいですよこの●ンカス!と再び言われた。渡された診察券を見ると「担当:院長」と思いっきり書かれている。院長お墨付きのハグキ健康優良児。リベンジ完了。こうもあっさり目標をクリアすると拍子抜けだが、しかし同時にわたくしの口腔ケアの手法の正しさが証明されたわけでもある。
ハグキ優等生であるわたくしに言わせると、しょくんらのブラッシング方法はおしなべて間違っている。3食後3分以内3分間(3・3・3運動)の寝言を信じて100均ハブラシで力任せにこすっているしょくんの口はなぜくさいのか。答えは「磨けていないから」。磨いたつもりになっているだけで、じつはぜんぜん磨けていないのである。おまえたちが歯やと思っているもののおそらく半分ぐらいは残念ながら思考の塊だと思います。ではわたくしはいかにして短期間でハグキ優等生となりえたのか。今日は特別にわたくしの口腔ケアの手順をネチネチと詳細に解説しよう。もっともこれはわたくしの卓越したブラッシングセンスと異常な執着心がなせる業なので、シロウトは安易に真似をしない方が身のためだとあらかじめ釘を刺しておく。
1.まず、テレビをつけて「日テレNEWS24」にチャンネルを合わせる。淡々とニュースを読み上げる中島静佳アナ(萌え)を眺めながら、歯茎のマッサージも兼ねて電動ハブラシで丁寧にブラッシング。中島アナからニュース映像に切り替わった時にすかさずこちらも鏡に視線を切り替えるのがコツ。こうして歯の隅々まで満遍なくブラシが届くよう適宜角度を変えながら気が済むまで磨く。電動ハブラシの機種だが、いろいろ試した結果、最終的にドルツ音波式ハブラシに落ち着いた。一時期ソニッケアを愛用していたが、持ちにくいしコストパフォーマンスが低いので2号機に格下げとなった。ドルツは軽くてソニッケアと同等のパフォーマンスを実現するうえイオンかなんかの力でなにかを助けてくれるらしい。一番最初に購入したブラウン回転式は台所専用ブラシとして働いている。
2.手持ちハブラシも電動ハブラシも実は歯間にはほとんど効果がない。そこでデンタルフロスの登場である。原始的なようだが歯間の清掃にはフロスが最も有効なのだ(歯間ブラシは怖いので使ったことがない)。100本入りぐらいのを買ってきてストックしておく。これは使い捨てなので、糸が擦り切れて細くなったら交換する。実際やってみるとわかるが、この作業には緻密な観察力と微妙な力加減が要求されるので、慣れないうちは鏡とにらめっこしながらやるしかない。「日テレNEWS24」に気をとられないようあらかじめテレビの音量を下げておくとよい。ところで世の中にはいまだかつてデンタルフロスを使ったことがない、中には存在すら知らないという人がいることに驚く。どんなに歯並びのいい人でも歯間に汚物(うんこ)は蓄積される。歯をきちんと磨いているのになぜわたくしの口はくさいのだ!とお悩みの皆さん、それは歯間の汚物(うんこ)を放置しているせいである。
3.さて、電動ハブラシはパワーがありすぎて細かい部分にまで行き届かないため、どうしても磨き残しが発生する。よって手持ちハブラシに持ち替えて、磨きにくい部分を中心に軽くブラッシングする。ハブラシは毛先を極細加工したものを使用。ハブラシの柄を2、3本の指でゆるやかに支え持ち、歯と歯茎の形状に沿ってブラシの先端を小刻みに顫動させる。これも作業としては結構単調なので、「日テレNEWS24」の中島静佳ちゃんをまじまじと凝視しながらやると退屈しない。
4.マウスウォッシュで殺菌。
以上です。トータルで10-20分ぐらいはかかるはず。さすがにこのフルセットを毎食後やるのは無理なので最低1日に1回、という目標でやるといいだろう。これで今日からきみもハグキ優等生だ。