赤い影
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2005/03/04
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劇中に点在する不気味な符号が運命に向かって収束していく映画。写真に映りこんだ赤い染みやベニスの街に見え隠れする赤い影など、すべては主人公の悲劇的な死を予兆していたわけだが、偶然も運命も事後のこじつけであるからして、そこに因果関係を証明する有効な手立てはない。それでも必然というか、そうならざるを得ないと思わせる説得力というかを本作は持ち合わせている。「赤い影」がいまもわたくしの心を捉えて離さないのは、フィクションが現実を超えた瞬間をとらえているからだと思う。不可解な出来事を淡々と積み重ねていくだけで、人生の不条理と予測不能性を、なんの説明も加えずに描き出したというのがこの作品のおもしろいところだ。クライマックスのおそろしくも美しい殺害シーン、主人公の人生の走馬灯を彩るピノ・ドナジオの華麗なスコア、そして粛々と進行しつつも祝祭的なムードの漂う喪失の儀式。わたくしどもは一連の映像に身震いするような恐怖とえも言われぬ解放感をおぼえるとともに、その不可解な余韻に呆然たらざるをえないのである。アーメン。
http://d.hatena.ne.jp/bitch69/20050124