曼陀羅
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2003/12/21
- メディア: DVD
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実相寺昭雄監督の観念三部作はどれもへんてこで大好きなのだが、「曼陀羅」は特にしかつめらしさの中にもまぬけで美しい《滑稽美》とも形容すべき高揚感が満ちている。遠近を強調する広角レンズによるゆがんだ構図にモノクロ/カラーの混用、移動撮影を多用したエロいキャメラワークといった映像効果、全編を覆うオルガン音楽や要所で挿入されるグラスハープとか銅鑼(?)の音響効果、わかったようなわからんような観念的な議論の数々など、本作のおもしろい点を上げればきりがない。その内包する主題として宗教共同体がそれ自体の抱える矛盾に耐え切れず自己崩壊を起こす過程が描かれるわけだが、宗教的なるもの=禁欲の象徴も突き詰めれば享楽の裏返しに他ならないという事実を痛烈にあぶりだしてみせている。主人公がテロリスト?に変貌する可能性を示唆し、お経で終わるというショッキングなラスト、万葉集を万引き?という不可解な行動の理由とかも深読みの余地があり非常に興味深い。
http://d.hatena.ne.jp/bitch69/20051209