ヴェルヴェットの森
ひさしぶりにビデオ屋に行ったら観たいものが「尻怪獣アスラ」しかなかった。映画産業も愈々オワリだなあ!と思ったらなんと「尻怪獣アスラ」はレンタル中であった。ヨモスエじゃ!
仕方がないのであまり見たくない映画5本をレンタルしてきた。
[rakuten:neowing-r:10107953:detail]「ヴェルヴェットの森(LA MORTE NEGLI OCCHI DEL GATTO)」(1973 伊・仏・西独 アンソニー・M.ドーソン監督)
「あなたの心は病んでないわ。孤独なだけよ」
古城の窓から覗くゴリラの鮮烈なショットで幕を開ける本作、わたくしなどは映画にゴリラが出てくるだけで無条件でうれしくなるほどゴリラに目がないのだが、この映画のゴリラはみるからにかぶりものであり、なおかつ最後まで気の毒な目にしか遭わないので萌えた。また、原題にも示されている通り飼い猫の意味ありげなクローズアップが頻繁に挿入されるのだが、もちろん意味なんてあるわけがなく、これも好ましい。このように、ややもすれば冗長に陥りがちなサスペンス映画にあって、動物は時に非常に重要な役割を演じる。《動物》の無表情ショットを要所に挿入することにより緊張感を生み出すと同時に、それらがかもし出す微妙なニセモノ性が作品に奇妙なユーモアを与えるのだ。同じ理由により、人間の死体をネズミがテクテク歩くシーンにスクイーキン音をかぶせる手抜き加減も好ましく思った。プロットは凡庸で全体を通してみるとしょぼいが、ゴシックの香りが漂う平均的なヨーロピアン・サスペンスに仕上がっている。★