パコと魔法の絵本
- 出版社/メーカー: デスペラード
- 発売日: 2009/03/06
- メディア: DVD
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「パコと魔法の絵本」(2008 日 中島哲也監督/後藤ひろひと原作)105分
「あの子といると何だか自分が弱い生き物に思えて仕方がない」
「それはつらいですか?」
「いや、かえって心が軽くなる」
アヤカウイルソン<カエル 1ねん1くみ さわじりえりか
♪はーらーわたーえーぐーりーなーべーでーにーこーむー ←わろた
本作は(月)ガマ王子対ザリガニ魔人(劇中劇)/(火)パコとジジイの物語(過去)/(水)語り部2匹(現在)の三重構造になっている。ばちゃ〜ん、けろ〜んという見事なオノマトペで始まる七五調の(月)はたいへん魅力的だし、児童文学の典型を律儀になぞる(火)は少女に振り回される大人というロリコンものの王道である。アノコロ病にとりつかれた哀れな大人と忘却という記憶のリセット作業を無作為に実践するパコ。アノコロを客体化する装置としての劇中劇を通じて両者が浄化を果たす物語においてその牽引役たるパコが最後に死ぬのは定石だし、ジジイも結局死んだのでめでたしめでたしというべきだが、であればなおさらあらずもがなの狂言廻しとか後日譚といった要素は邪魔としか言いようがない。映画が現実のくびきから解放されるための手段だとすればファンタジーの世界にいちいち現実がまぬけな顔を出してコレはウソ/過去ですよと指摘するのは野暮であり、物語(ファンタジー)への軽視であろう。にもかかわらず物語の根本にオトナの鑑賞に堪えるための涙と笑いの2大娯楽(笑)要素を据えざるを得ないという日本映画のどうしようもない構造を象徴しているのであって、つつましく凡庸なエンタテインメントを目指しているなら本作は成功してると言える。★