空気人形
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2010/03/26
- メディア: DVD
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ダッチワイフは電気こけしの夢を見るか? 1ねん1くみ うえしまりゅうへー
(あらすじ)
自意識がめばえたダッチワイフの悲哀と現代人が抱える空虚感を浮き彫りにした異色作。
(かんそう)
自動人形の無垢とエロスを体現する微妙にブサイクなぺ・ドゥナの大根(ピュア)演技が凶悪な、おおむね好い印象の映画でした。気に入ったのは空気人形がうれしそうに足をパタパタさせて浮遊するシーンの天使ぶりと、ぺしゃんこになった空気人形が「見ないで」と訴えつつ臍からの「人工呼吸」を受けるシーン。レンタルビデオ店員の呼気により満たされた空気人形が見せる法悦の表情に、是枝というこの変態が描きたかったすべてがここに凝縮されているのではないかと思わずにはいられないし、おまえらの別の部分も膨張したであろうことは想像に難くない。そして空気人形が送り出す最後の息吹により《世界》がゆるやかにつながるポエチカルなラスト。人形視点の世界から俯瞰された世界へ切り替わった瞬間、わたくしどもは現実との接点を回復すると同時に世界への新たな視座を獲得したといえるだろう。要するにわたくしが言いたいのはだ、おまえらがたまにケツから空気を漏らしたりするのは、おまえらgふぁ内部を《屁》で充填された空気人形である証左にほかならぬということ、いやむしろこの地球そのものが、空気が漏れて萎み始めたひとつの巨大なバルーンなのかもしれない。そんなやるせない思いを抱きしめながらわたくしはみずからのへソの栓を抜いた。★1/2