Grand-Guignol K.K.K

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タコヤキに関する一考察

日本がいよいよダメになった暁には外国でタコヤキ屋を始めようと思う。フランスかどこかの、人通りの少ない往来に屋台を出して、せっせとタコヤキを焼き、売らずに自分で食う。それが俺の夢だ。
タコヤキがタコヤキと呼ばれるゆえんは、具に蛸を使うからであろうか。それもあるかもしれない。しかし単に形がタコの頭に似ているからという理由でもいい。なぜなら、必ずしも具に蛸を使う必要はないし、しかも蛸なんぞ入ってない方がうまかったりする。蛸の大きさを売りにしているタコヤキ屋をたまに見かけるが、失笑ものである。蛸が食いたいからタコヤキを買うわけではない。タコヤキにおいてもっとも大切なのは生地であり、蛸ではないというのは自明のこと。蛸が食いたいだけなら新鮮な蛸を刺身かなんかで食った方がずっとうまい。
意外に思われるかもしれないが、タコヤキの本場と呼ばれる大阪ですら、うまいタコヤキ屋に遭遇することは難しい。まあまずいとまでは言わなくても、たいしたことないのである。いや本場だのなんだのと甘やかされおだてられているからこそ、そういうタコヤキ屋がなおさらはびこる。なかには小麦粉を適当に水で溶いて丸く焼けばいいと思っているとしか考えられないような店まである。失業したからとかしょうもない理由でタコヤキを焼きはじめる迷惑千万な連中が多いのだろう。はっきり言ってタコヤキをなめている。あれをタコヤキだと思っている人は、気の毒だが食文化に触れた気になっているだけで、完全に騙されているわけである。もちろん本物のタコヤキに出会うこともあるが、タコヤキ道を極めた真のプロフェッショナルは驚くほど少ないのが現状だ。
熊谷真菜というおばさんが著した『たこやき』という本がある。関西圏におけるタコヤキの発祥と発展の歴史を綴った本だったような気がする。この本の巻末に収録されているレシピどおりに作ってみると、だんごみたいなものができる。そういうものだ。
実を申せば、うまいタコヤキを作るのは存外簡単である。ものすごく簡単に言ってしまうと、市販のタコヤキ粉を買ってきて、1:3〜3.5の割合で水を混ぜる。この黄金比率がポイント。紅しょうがだとか揚げ玉とかを使うのがお決まりになっているが、別に使わなくてもいい。むしろ健康面を考えればない方がいいぐらいだ。最近のは変な添加物が入ってるからな。もちろん蛸なんてなくてもいい。生地にすりおろしニンニクを入れたり、具にオクラとか使えばそこらのタコヤキ屋より数層倍うまいタコヤキが作れるのだから呆れる。嘘だと思うのならやってみればいい。本職の手さばきに惑わされてはいけない。テクニックは後からついてくるもの。数をこなせば自然とコツも判ってくる。むしろ、怖いのはタコヤキを焼くことがルーティンワークと化したとき。タコヤキの本道を見失ってしまうことだ。慣れた手つきで馬糞のようなタコヤキを焼いている店を何軒も見てきた。こうなると家で焼いた方が圧倒的にうまいのだからどうしようもない。
さらに申せば、お好み焼きについても同じ現象が起こっている。家で作った方がうまいのである。プロ意識のまったくないお好み焼き屋のあまりの多さに何度閉口させられたことか。これも原因ははっきりしていて、お好み焼きの本道を見誤っているからである。これについてはまた別の機会に。