生きていれば107歳
そろそろ誰も話題にしなくなったようなので、最近いちばん興味ぶかかったこの事件について。
【107歳、兵庫の最高齢男性は…死んでいた】 3/8 23:32更新けっきょく金銭目的を匂わせる下卑た憶測といくつかのエニグマを残してこの現代のおとぎ話は幕を閉じるのですが、みなさんはどう思われましたか。個人的には、金銭がらみというよりも、ご家族の思い込みというのが妥当な解釈だと思います。父親がまだ生きていると思いたい、という切実な祈りがご家族をそのような奇異な行動に駆り立てたのではないでしょうか。いつバレるか判らないという危険を冒しつつ父親を伝説の長寿者に仕立て上げ、お札や食事を用意するという手の込んだ小細工を弄してまで祝い金や年金をもらい続けるのは割に会わない気がします。葬儀代をケチるなら他にいくらでも方法はあります。また、現世がどうの来世がどうのいったキチガイじみた御託を並べるのではなく、あくまで存命を主張したご家族の潔さには深く感じ入ります。たとえば病気で母親を亡くした子供が「ママは生きているんだ」と涙ながらに訴えて火葬を拒否しつづけたら、誰がそれに反論できるでしょうか。ママはもう死んでるぞ、と亡骸にしがみつく子供をひきはなすような真似ができるでしょうか。そんなやつは鬼畜です。とはいえ、もちろん医学上の死と観念上の死は峻別されねばなりません。さもないとそこらじゅう死体だらけになって収拾がつかなくなってしまいますよね。
7日午後3時ごろ、兵庫県伊丹市に住む男性(63)から、親類の金岡×××さんが同市内の自宅で死んでいるとの通報が伊丹署にあった。同署員が金岡さん宅に駆けつけたところ、ふとんの中でミイラ化した金岡さんとみられる遺体を発見。8日に兵庫医大で司法解剖した結果、死後5年から10年が経過していた。
金岡さんは自然死か病死とみられるが、同居の家族が死亡届を出しておらず、住民票など行政上は107歳で生存し、昨年9月には県内の最高齢男性に認定され、伊丹市の広報紙でも紹介されていた。同署は軽犯罪法違反(死亡届の不提出)の疑いがあるとみて家族から事情を聴いている。
(以下、抜粋)
・遺体はふとんにうつぶせで寝かせられており、周囲にはお守りやお札が置かれ、枕元に毎日食事が供えられていたという。
・金岡さんは3人の子供と暮らしているが、長男らは「父親は生きていると思った」「お札は大阪の宗教団体で祈とうを受けた」「酉年の3月に大願が成就するので届け出ることにした」と話している。
・平成11年、市内の男性最高齢者とされ、市長が「敬老の日」関連の行事として金岡さんを訪問した際、応対に出た家族が玄関先で「元気にしていますよ」と話したが、面会は拒んでいた。 昨年9月に訪問した際も、長男らに「会話はできるが、寝たきりの状態」と言われて、会わせてもらえなかったという。
・近所の人の話。「最高齢者として広報紙などに載っているのにまったく姿を見ないので、どうしているのかと思っていた」「生まれてから一度も会ったことがない」
しかし、よく考えると、ただの信仰や思い込みだけで金岡さんが「会話はできる」状態、かつ「枕もとに食事を」運んでいたなどと臆面もなく証言できるものでしょうか。会話もせず食事もせず排泄もせず、ただ寝ているだけの木乃伊のような金岡さんの姿を見て、「まだ生きている」と思い込んでいたとしたら、このご家族の正気を疑わざるを得ません。思うに、可能性として金岡さんは「本当に」生きていたのではないでしょうか。信仰か何かの作用によって物理的な死を超え、死後もなお存命する未知のパワアが宿り、本当に金岡さんが生きていたとしたら。これはもはやゾンビとしか呼びようがありません。「ミイラ転生・死霊の墓」というゴミ映画にミイラとゾンビをあわせたようなものが出てきましたが、丁度アレと同じ感じなのだと思います(金岡さんが食人をしていたという意味ではありませんよ)。しかも金岡さんは寝たきり状態で会話もしていたということなので、ふとんにうつぶせのままうわごとのように何かを喋りつづけていたのだろうと想像されます。食事や排泄については推して知るべしですね。その後、金岡さんの肉体がどうなったのかは知りませんが、焼いたとしたら生きたまま焼いたということになりますし、焼いていなければゾンビの生きた標本として金岡久次郎さんはいまも元気に生きているということになります。この勢いだとどのお宅からも宗教的な生きた死体がごろごろ出てきそうで、想像するだけで心豊かな気分になれますね。
冗談はさておき、事実、死んでからも自分は生きていると思い込んで元気に動き回っている人もたくさんいます。私の勘では世の中に動き回っている人間のなかには何割かそういう人が混じっています。その内訳は、
・幽霊(肉体は消滅しても根性で実体化)・・・5
・ゾンビ(腐りながら生存)・・・2
・その他・・・3
といった感じです。「その他」が何をさしているのかは微妙なところです。