スワロウテイル
「モノは直したらまた使えるけど、人はただ死ぬだけよ」
「そして天国へ行く」
「知らない。ママが死んだとき、ママはどこにも行かなかった。ただこわれてた」
「スワロウテイル(SWALLOWTAIL BUTTERFLY)」(1996 日 岩井俊二監督)149分
恥ずかしい映画である。半ばチャ○のプロモーションビデオと化しているというのもあるが、それだけではない。台詞が、演技が、音楽が、ストーリーが、名状しがたく恥ずかしい。岩井俊二の映画はどこか嘘くさい。映画だから作り物めいているのは当然だが、それを意識させない説得力があるわけでも、作り物ならではの安心感があるわけでもない。にもかかわらず、これでもかと痛みを突きつけてくる。痛みというよりも、人によっては単に不快なだけだろう。まるで育ちのいいお坊ちゃんが撮ったヤクザ映画。どこか釈然としない。しかしあいかわらずラストシーンは綺麗である。あと特筆すべきは、この監督が少女を捉える瞬間には息を呑むものがある。有体に言うとエロい。「花とアリス」もそうだが、平凡な少女を妙に美しく、エロティックに見せてしまう。ほんまやらしいオッサンやで!★